柔道の第43回全国高校選手権・QAB紫雲旗争奪県大会は17日、沖縄市武道館で行われ、個人の男子60キロ級で糸満2年の小林幹明が頂点に立った。創部2年目の糸満勢の県大会での優勝は初めて。女子70キロ級も糸満1年の嘉数あきが制した。男子の他階級は沖尚勢が優勝。女子57キロ級は沖尚1年の泰川寛野、無差別級は沖尚2年の金城陽菜が制した。団体優勝は男女とも沖尚で、男子は15連覇、女子は16連覇となった。3月19、20日に東京・日本武道館で開催される全国高校選手権は団体戦は中止で、個人戦のみ行う。男子60キロ、66キロ、73キロ、81キロ、無差別級、女子は48キロ、52キロ、57キロ、63キロ、無差別級の優勝者がそれぞれ派遣される。昨年の全国高校選手権は大会自体が中止となっており、団体は2年連続で実施されない。 (謝花史哲)
強豪・沖縄尚学の一角を崩した。男子60キロ級で糸満の小林幹明は、準決勝で昨年11月の新人大会優勝の伊波加偉自(沖尚)、決勝で當間怜士(同)を撃破し王座に登り詰めた。伊波には合わせ技で、當間は寝技で一本勝ちを収め、潜在力の高さを見せつけた。
小学2年で柔道を始め、中学では豊見城南高に稽古に通った。そこでの指導者は那覇西高で世界選手権の銀メダリスト七戸龍を育てた横田三四郎監督だった。3年前に糸満高に赴任が決まった横田監督を慕って進学を決め、一緒に柔道部を創部した。
昨年の大会は準優勝で、その後は総体が中止に。まともに練習できない日々が続いた。11月の新人大会も練習不足な上、体重調整が間に合わず棄権し、今回が1年ぶりの大会だった。
不安もあったが、攻めの姿勢を貫く。延長にもつれた決勝は先手を仕掛け、相手を揺さぶった。不意を突く、ともえ投げを繰り出すと相手がつぶれてきたところを、右腕を取って体をひねり、流れるように関節を決めた。「練習していた動きができた」と喜び「次は全国。しっかり上位を狙いたい」と明言した。
横田監督も「運動能力が高く対応力がいい。素質は十分。期待できる」と太鼓判を押す。勝負強さを武器に全国への挑戦が始まる。