沖縄県がサンゴの特別採捕を不許可 辺野古新基地「軟弱地盤工事できず」


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政府が新基地建設を強行する名護市辺野古沿岸部・大浦湾=2020年6月12日(小型無人機で撮影)

 県水産課は22日、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が2020年6月に申請したサンゴ類の特別採捕(移植)許可を同日付で不許可としたと発表した。申請書や県の説明要求に対する回答に、移植の必要性、妥当性などが認められないとしている。防衛局が工事を進めるためには県から許可を得てサンゴ類を移植する必要がある。

 県水産課は「現行の新基地建設計画では大浦湾で見つかった軟弱地盤の改良工事ができない。完成できない事業への環境保全措置は必要性が認められない」などとしている。担当者は「移植先の生態系への影響などについて十分な回答が得られなかった」などと理由を説明した。

 防衛局は20年6月26日、名護市の大浦湾側に生息する小型サンゴ類約3万5350群体やショウガサンゴ9群体、大型サンゴ類21群体の移植許可を県に求めていた。

 今回不許可となった申請とは別に、防衛局は19年にもサンゴ類の移植を申請している。だが県の審査が続いていた20年2月、農林水産相は移植を許可するよう県に是正を指示した。県は従わず、3月に国の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出たものの、係争委は県の訴えを退けた。現在、県は農水相の是正指示は違法として指示取り消しを求め、裁判で争っている。この裁判についても県水産課は「現在の計画では新基地は完成せず移植は必要ないので、不許可相当と考えている」との認識を示している。