米軍基地「全国比50%以下に」沖縄県目標の危険性とは 政府が「逆利用」も


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 沖縄の日本復帰50年に合わせた政府への要請に向け、在沖米軍専用施設を全国比で「当面50%以下」に減らすという、県が検討している数値目標案を巡り、県政与党の間では意見が分かれている。全与党が乗れる最大公約数は在沖米海兵隊の撤退で、玉城デニー知事が初めて踏み込む可能性がある。長期的な目標として、大田県政時の「基地返還アクションプログラム」に匹敵するような大規模な基地撤去計画を求める声も大きい。玉城知事の判断が今後の焦点だ。

上空から撮影した米軍普天間基地。右奥は米軍嘉手納基地=2009年12月7日

 13日に県が要請項目の案を示した際、与党各会派から共通の懸念が上がった。「50%以下」と掲げる根拠や達成期限が曖昧(あいまい)であることだ。玉城知事は15日の記者会見で「具体的にどこの基地をどう返すかは協議していない」と認めている。

 政府が「50%」との要求を逆手に取って、残りの基地を容認したと曲解したり、米軍基地を自衛隊との共同使用にすることで返還することなく米軍専用施設の割合を下げたりするなど「逆利用」を危惧する声もある。陸上自衛隊の水陸機動団がキャンプ・シュワブに常駐する案が取り沙汰され、より警戒感が強まった。

 複数の会派が「根拠がなく説得力に欠ける」「数字のトリックに使われるのではないか」などと県側へ伝えた。一方、「もはや引っ込みが付かない」として数値目標の堅持を求めた会派もあった。課題を乗り越える案として上がったのが、米海兵隊の撤退要求を「50%」の根拠とすることだ。

 玉城知事は報道陣の質問に、海兵隊撤退の県議会決議に触れ「実現すれば、米軍専用施設面積は全国の約40%になる」などと述べている。与党が一致できる海兵隊の撤退や削減要求は、知事の発言とも親和性が高い。

 与党最大会派の沖縄・平和は26日、玉城知事を訪ね、数値目標を掲げる「大胆な要請」と賛成するとともに「基地返還アクションプログラム」を作成するよう申し入れた。他の会派からも、アクションプログラムに匹敵する規模の計画策定を求める声が上がっている。

 これまで「オール沖縄」の枠組みは辺野古新基地建設反対で一致する一方、その他の基地問題についてはさまざまな考え方を残し、擦り合わせてこなかった。与党幹部の一人は「ふたを開けたのは知事の方だ」と指摘する。県内移設を前提とする日米特別行動委員会(SACO)合意や、嘉手納より南の返還・統合計画と「50%以下」は両立できないと説明。「復帰50年の節目に、転換点をつくり出す必要がある」と意気込んだ。

 (明真南斗)