「ペルーで琉球古典を広げたい」 沖縄4世の安富祖アレハンドロさん


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県立芸術大学の学年演奏会で笑顔を見せる安富祖アレハンドロさん(右)と島袋功先生

 「ペルーで琉球古典音楽を教えて、広げたい」と語るのは、2019年度沖縄県費留学生として沖縄県立芸術大学で琉球古典音楽を学んだ、安富祖アレハンドロさん(35)=金武町系4世=だ。

 安富祖さんは18歳からペルー野村流音楽協会に所属する。ペルーで琉球古典音楽に興味を持つ人が少なくなり「将来なくなってしまうかもしれない」と危機感を抱いていた。沖縄で勉強し、ペルーに戻って琉球古典音楽を教えたいという目標があった。「沖縄の音楽と自分の音楽で新しい音楽をつくりたい」と考え、県費留学に応募した。

 県立芸術大学では、野村流音楽協会師範で県立芸術大学教授の島袋功先生の指導を受けて、三線の新人賞を手にした。宮城英夫先生の指導で笛の新人賞も受け、歌三線の教師免許を取得した。太鼓、胡弓、ウチナーグチ、琉球古典音楽や、楽器の理論などを学んだ。大学以外では、那覇市の尚工房の三線職人・岸本尚登さんから三線製造とメンテナンス方法を学び、首里の大中町自治会で旗頭の練習に参加した。

 帰国後は、県人会や日本ペルー文化会館のイベントで古典音楽を披露する。留学研修生のOB・OGで構成する「キムタカ会」で、沖縄文化に関するワークショップを開くなど、若い世代が沖縄を知るための活動を続ける。「コロナであまり活動ができないが、落ち着いたら若い日系人たちが琉球古典音楽に興味を持ち、沖縄に誇りを持つために刺激を与えたい。世界で三線と沖縄のことを広げたい」と抱負を語った。

 (安里玉元三奈美通信員)