辺野古設計変更 地震動データの計測期間は5カ月 国、基準書の例示期間を満たさず


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 【東京】名護市辺野古の新基地建設で沖縄防衛局が提出した設計変更申請に関し、耐震性能の検討に用いた地震動データが、国土交通省が監修した基準・解説書で「おおむね1年~数年程度」の蓄積を挙げたが、実際の計測期間が5カ月にとどまっていることが4日、分かった。

 期間中に観測した地震は二つで、三つ以上が望ましいとした解説書の求めに満たない。問題を指摘した立石雅昭新潟大名誉教授(地質学)は、観測が1年延長されていれば、2010年2月に沖縄本島南東で発生したマグニチュード7・2の地震データも加わり、より精度を高められたとして防衛局の姿勢を疑問視した。

 立石氏が4日にオンラインで行った、野党国会議員向けの講演で指摘した。

 観測する地震の数を示したのは、国交省が監修した「港湾の施設の技術上の基準・同解説」。これまで防衛省も新基地の耐震性能設計の根拠として、国会などでたびたび言及してきた。

 新基地の耐震設計に当たり、観測された2回の地震のうち、09年2月に発生した地震のデータは、引用元の防災科学技術研究所が運用するK―NET(全国強震観測網)から削除されたことが分かっている。

 立石氏はK―NETからのデータ削除は「精度が悪かったからだ」と指摘。「重要施設なのだから辺野古地先での地震観測を継続し(地震動の)精度を高めるのは当然だ」と話した。

 防衛省は、耐震設計にはさまざまな手法がある中で「実際の地震を測る、一番信頼性が高い方法を用いた」と説明した。観測期間の短さについても問題ないとの認識を示した。