「一瞬死がよぎった」激しい揺れ、食器散乱… 福島の県出身者、10年前を思い出す東北震度6強


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土砂崩れの復旧作業が続く福島県相馬市の常磐自動車道=14日午前11時21分(小型無人機から)

 東日本大震災の発生から10年を前に、またも大きな地震が東北地方を襲った。13日深夜に発生し、最大震度6強を観測した地震に、福島県で暮らす県出身者は「震災を思い出した」と口をそろえた。

 「自宅と店の片付けに2日かかった。もうくたくた」。震度6弱を観測した福島市で沖縄料理屋「海ぶどう」を経営する那覇市出身の内間文男さん(69)は15日、疲れた様子で語った。激しい揺れで店内の食器などが床に落ち、グラスや小皿の3分の2が割れた。

 福島県では新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、2月14日までを独自の緊急対策期間とし、飲食店などへの営業時間短縮を求めていた。内間さんは1カ月近く休業し、15日から店を再開する予定だった。片付けに追われ、再開は16日に延期することに。「コロナに地震が追い打ちを掛けてきた。出ばなをくじかれた形だ」とため息をついた。

 震度6弱を観測した福島県郡山市。宮古島市出身で専門学校教員の武本泰さん(62)は、13日の地震発生当時、自宅で仕事の資料を作成しているところだった。強い横揺れで、体が浮かび上がる感覚だった。アクセルを踏み込んでいくように揺れはどんどん強くなり「もうだめかもしれないと、一瞬だが死がよぎった。(10年前の)震災より時間は短かったが、瞬間的な揺れの強さは上だった感じがする」と振り返る。

 テーブルの上のコップや雑誌類はほぼ全て落下。それでも過去の反省を踏まえ、家具の転倒防止に耐震ゴムを設置するなど対策していたためか、被害は最小限に食い止められたという。「10年近くたち、あの日の恐怖心から解放されつつあったが、今回でしっかりと思い出させられた。自然のエネルギーの前では、人間はいかに無力かを改めて実感した」と、災害の恐ろしさを語った。