辺野古の地震動観測わずか5カ月 防衛局契約 国目安では「1~数年」


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 【東京】名護市辺野古の新基地建設に当たり、耐震性能の検討に用いる地震動データ測定のため、沖縄防衛局が企業に求めた業務内容で、地震観測の期間を5カ月間としていたことが分かった。国土交通省が監修した「港湾の施設の技術上の基準・同解説」は、観測期間として「おおむね1年~数年程度」を例示しており、契約当初から例示期間を下回る、短期間だったことが明らかになった。

 17日に国会内で行われた沖縄等米軍基地問題議員懇談会に、防衛省が提出した「業務委託特記仕様書」で判明した。辺野古の地震観測を巡っては、5カ月間に観測された地震が2回で、国交省が監修した基準・同解説が示す3回を下回っていたことが問題視されている。

 2回の地震のうち、1回の地震動は、基準を満たさなかったことから、引用元の防災科学技術研究所が運用するK―NET(全国強震観測網)から削除されている。

 国交省の基準・同解説は、1年~数年程度の地震観測を行うことで、地震が発生した際に、揺れが地盤の中をどう伝わるかを評価する際に必要な「中小地震記録や遠方での大地震の記録を得ることができる」と、年単位で観測する意義を強調していた。

 防衛省は業者の負担が生じるとして、期限を区切る必要性を説明した。ただ、期間を5カ月にとどめた理由の説明は避け、「5カ月で必要なデータは得られた」とするにとどめた。

 石橋通宏参院議員(立民)は、5カ月で観測を終えるため、小規模な地震のデータも使わざるを得なかったのではないか、と批判した。