ストーカー禁止命令増 20年45件 県警、SNSで立証容易に


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 2020年に県警がストーカー行為の加害者に対し、被害者への接近や連絡を禁じるなど強制力のある「禁止命令」を出した件数は、前年比28件増の45件(暫定値)だったことが、19日までに県警のまとめで分かった。県警に人身安全対策課が設置された19年以降、禁止命令を出した件数は大幅に増加した。15~18年の合計はわずか7件だった。同課は「ストーカー事案などに迅速に対応できる体制が強化された結果だ」と説明している。ストーカー規制法違反などによる摘発した県警件数は前年比14件増の37件だった。 

 20年に県警に寄せられた付きまとい行為などのストーカー関連の相談件数は177件で、前年から25件増えた。過去10年間で最多。同課は「被害の当事者意識が広がっていることや、会員制交流サイト(SNS)などの普及によって会話履歴などが残り、被害を立証しやすくなったことが増加の要因として考えられる」と説明した。

 相談件数が増加傾向にあるストーカーなどの人身安全事案への対策を強化するため、県警は19年に「人身安全対策課」を設置した。20年4月には本部署を除く県内13署に、ストーカーやドメスティックバイオレンス(DV)などに専従する担当の係を置き、迅速に対応できるようにした。

 17年施行の改正ストーカー規制法では、文書による「警告」がなくても、緊急時に警察がストーカー行為をやめさせる禁止命令を出せるようになった。禁止命令は被害者へのメールや電話、接近を禁止する行政措置で、違反した場合は摘発の対象になる。

 県警が禁止命令を出した件数は人身安全対策課が設置された19年は17件、各署に係が設置された20年には45件(暫定値)となった。18年までは文書警告が禁止命令を大きく上回っていたが、19年に6件、20年に7件となった。

 同課は「軽微とみられる事案でもエスカレートし、被害者を危険にさらす可能性もあるので、迅速に禁止命令を出すようになった」とした。

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