「うるま市から甲子園出場」 7年越しのメッセージ、具商センバツ決定で「夢実現」 元高校球児の伊東さん


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具志川商業高校のセンバツ出場を喜ぶ伊東一巳さん(左)と娘の志乃さん=8日、うるま市塩屋

 【うるま】具志川商業高校の甲子園初出場が決まったことを受け、地域からも喜びの声が上がっている。元高校球児で、うるま市でごみ収集会社を営む伊東一巳さん(75)は、所有する収集車に「うるま市から甲子園出場を実現させよう!」とのメッセージを掲げてきた。同校の出場決定に「夢が本当に実現した」と自分のことのように喜んでいる。

 伊東さんは1963年、沖縄水産高の投手として出場した夏の県大会で、あと一歩のところで甲子園出場を逃した苦い経験がある。準決勝で首里高と延長11回を戦った末、引き分けという大接戦を繰り広げた。翌日の再試合では両校無得点が続く投手戦となったが、首里高が7回に1点を先取。そのまま逃げ切った。伊東さんの夏が終わった瞬間だった。甲子園への切符を手にできず、悔しさが湧き上がってきた。

 「甲子園に行きたかった」との気持ちはその後もずっと残り続けた。2004年、ごみを収集する「あがりび環境保全社」を立ち上げた。うるま市内の一般ごみを収集し、具志川商業高のごみ収集を担っていた時期もある。

 7年前、収集車の新車を購入した際、「甲子園出場を―」の文字を入れた。「自分が果たせなかった夢をかなえてほしい。そのためにも球児のやる気を鼓舞しようと考えた」と理由を語る。

 具志川商業高の甲子園出場決定を伝えるニュースが飛び込んできた時は「やった。本当に実現した」と驚きが隠せなかった。同校にごみ収集に行くと、野球部員がいつも元気よくあいさつしていたのが印象に残っているという。伊東さんは「打撃力を発揮し、まずは1勝してほしい。具志川商業高はうるま市の誇りだ」と期待を込め、同校の球児が甲子園の土を踏む瞬間を楽しみにしている。