prime

11歳「院生」囲碁プロ棋士へ踏み出す 川畑拓也さん<県人ネットワーク「輝く」>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
川畑拓也さん

 プロ棋士という大きな夢に向かい、今年1月、新しい世界に踏み出した。日本棋院の「院生」となった。日々碁盤に向き合い、週2日、他の院生と対局を重ね順位を競う。

 物心が付いた頃から、囲碁がそばにある環境で育った。兄の拓夢さんと、姉の翔子さんの影響で、小学1年から浦添囲碁会館で囲碁を始めた。「面白かった」。夢中になっていった。

 小学1年から2年で解読本50冊を読み込むなど、多くの棋譜を覚えてきた。小学1年でアマチュア2段、小2で5段に昇進。早い人で2、3年かかるといわれる囲碁ドリル6冊を1年で解いた。有段者である父親の和也さんやきょうだいとともに碁盤に向き合ってきた。

 県内在住のプロ棋士、梅木英さんに師事、プロの強さを知った。2018年、小3年のとき、文部科学大臣杯少年少女囲碁大会全国大会小学生の部で優勝。第39期小学生名人の称号を受けた。3年生での優勝は、後に名人となった井山裕太氏以来20年ぶりだった。

 だが、翌年のくらしき吉備真備杯こども棋聖戦では決勝リーグ初戦で敗退した。「気が緩んでいた」。少年少女囲碁大会以降、練習時間が減っていた。悔しかった。「もっと強くなりたい」。19年に両親、姉とともに上京した。

 日本棋院に週2日通うほか、洪清泉四段に師事し週4日、道場で練習する。学校がある平日は4時間、休みの日は12時間を費やすほど囲碁中心の毎日を送る。昨年実施された12歳以下のアマチュアがネット上で対局する世界大会「CCTV世界ユースアマネット囲碁選手権戦」に日本代表で出場し3位に輝いた。

 囲碁に対する熱量の源はとにかく囲碁が好きなこと、そして負けず嫌いであることだ。「プロになって、7大タイトルを取る」と力強く語った。


 かわばた たくや 2009年生まれ、浦添市出身。浦添市立港川小1年から囲碁を始める。小3年のとき、文部科学大臣杯少年少女囲碁大会全国大会小学生の部で優勝。日本棋院の採用試験に合格し、21年1月から同院の「院生」。同院の2月期序列表によると、院生49人中34位で、Cクラス。