新型コロナウイルス感染拡大に伴う県の緊急事態宣言が今月末に解除され、時短営業要請も終了する見通しとなった。約2カ月にわたり時短営業を続けている県内の飲食店関係者からは「常連客が戻ってきてくれるのでは」などと歓迎する声が上がった。一方で、県の協力金の支払いが遅れていることに「収入が激減しており、早く対応してほしい」と切実な声も多かった。
北部で感染が拡大した昨年12月、県の時短要請対象から外れ、要請活動を経て約1週間遅れで対象入りした名護市。歓楽街「みどり街」はネオンや客の姿が消え、閑散とする。名護市でスナックを経営する仲地米子さん(77)は「良かった」とほっとした表情を浮かべつつ「県の協力金支払いが遅くて困っている。『もう少しの我慢だ』と従業員と励まし合っていた。常連客を中心に戻ってきてくれるのでは」と期待した。
県内で唯一、24日から時短営業の要請が午後10時までに緩和される石垣市。2月に入り感染者は確認されていないが、街には時短営業だけではなく、「臨時休業」の張り紙も目立つ。市大川の居酒屋店主、大底憲一郎さん(33)は「客が入る月末なので緩和はありがたいが、また営業時間を変更するとなると、常連客にもなかなか周知できない」と複雑な表情を見せた。
沖縄市内の中心市街地は、昼夜問わず客足が遠のき、新型コロナの影響の長期化が懸念される。
市一番街商店街振興組合の親川剛理事長は「飲食業だけでなく、服飾関係などもダメージは大きい。緊急事態宣言にかかわらず、売り上げが回復できずにいる。商売を存続できるかの瀬戸際だ」と危機感を示す。解除後も歓送迎会の自粛などが続き、需要回復は見込めないとして「長期の支援を考えてもらいたい」と訴えた。
那覇市内では普段通りの生活や仕事に戻ることへの期待も高まっている。シャッターを降ろした飲食店が軒を連ねる安里の街を歩いていた、帰宅途中の与那覇和美さん(59)=那覇市=は「宣言が解除されても感染するリスクはある。対策を徹底した上で普段通りの生活に戻っていければうれしい」と話した。
モノレール安里駅前で友人を待っていた営業職の島袋大喜さん(25)=宜野湾市=は「飲食店を相手に営業をしているので、仕事の活気が戻ってくれたら」と期待した。