赤羽刀デジタル保存 琉大小林助教 修復資金募る


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非破壊の測定器を使い、刀剣を調べる様子(提供)

 戦後、連合国軍総司令部(GHQ)に接収された刀剣類のうち、廃棄処理から免れて後世に伝わった「赤羽刀」を保存修復し、デジタルアーカイブを作成するプロジェクトが進んでいる。琉球大学理学部の小林理気助教が立ち上げ、クラウドファンディングで資金を募っている。貴重な刀を壊さずにデータを取り、刀の切れ味や美しい波紋の秘密に迫る計画だ。

 

 GHQは武装解除を目的として庶民から刀を接収し、東京都北区赤羽に集めた。後に返却されたが、持ち主が判明しなかった刀は各地の博物館に寄贈された。県内には約30振の赤羽刀があるが、ほとんどがさびており、保存・修復が必要な状態という。

 

 小林助教は、首里城火災で多くの文化財が焼失したことを受け、デジタルデータを残す必要性を実感し、プロジェクトを立ち上げた。日本刀の波紋や切れ味は、刀を構成する結晶組織の構造や大きさなどに依存していることが分かっているが、これまでは貴重な日本刀を輪切りにすることでしかデータを得ることができなかった。今回のプロジェクトは大型加速実験装置を使った最先端の計測技術を用い、刀を破壊せずにデータを得る。

 

 得られたデータは科学研究や文化財のバックアップとして役立てるほか、実物と一緒に展示することで、見学者の理解を深めることに生かすという。

 小林助教は「首里城の火災で多くの文化財が失われたことは衝撃だった。デジタルアーカイブを作成し、さまざまな形で後世に文化財を残していきたい」と語った。クラウドファンディングのサイト

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