琉球新報社 女性社員は34%、管理職は20% 役員はいまだ登用なく 環境の問い直しへ


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 ジェンダー平等への関心が高まる中、メディアが発信する情報のジェンダーバイアス(偏り)や、メディア内部の女性の位置付けにも厳しい目が向けられている。琉球新報社の非正規を含む女性社員の割合は34・2%(2020年4月現在)。新聞協会が調べた全国の新聞・通信97社の20・6%(同)より高いが管理職、役員と役職が上がるにつれて女性の割合は減り、紙面に掲載される人も男性の割合が高い。

 琉球新報社の全従業員に占める女性の割合は1997年の20・0%から増加を続けて2018年に30・0%に達した。課長級以上の管理職はここ数年で急激に増えて20年は20・4%(12月現在)で、全国(8・0%)の2倍以上になった。ただ「意思決定の質が変わる」とされ、政府が目標とする30%には達していない。役員は10人中0人で女性役員が就いたことはない。

 紙面を作る編集局と各支局の報道部では女性が36人で36・0%を占めた(20年4月)。全国の女性記者は22・2%。また局内の女性管理職は13人中5人で38・5%。他局よりも女性の割合は高いが、ニュースの価値判断をする意思決定者の大半は依然として男性だ。

 多くのメディア同様、紙面に登場する人は圧倒的に男性が多い。政治家や経営者は男性が大半で、全体的に女性の扱いが少なくなってしまう傾向にある。記事で社会の出来事を分析・論評してもらう識者の女性割合は20年1~12月、政治面は21・4%、社会面は8・7%だった。社会面は新型コロナウイルス関連の記事が多く、男性医師の登場が増えた。

 ジャーナリズムが専門の林香里教授(東大大学院)によると、コロナ禍で識者が男性に偏る問題は世界中で起きているという。「女性の記者数を増やすだけでなく登場する女性を増やし、多様な視点を反映させる必要がある」と指摘した。

 本紙が社外に執筆を依頼するコラム「南風」は、過去5年で120人の執筆者のうち女性55人、男性65人とバランスを取った。外部の識者に紙面を批評してもらう「読者と新聞委員会」は2年任期で4人の委員を委嘱する。01年の開始時から一貫して男性3人に対し女性は1人の構成が続いている。

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