琉球新報社の女性登用 識者の見方は? 林 香里・東京大大学院教授に聞いた<国際女性デー>


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林香里氏(東京大大学院教授)

 琉球新報社の女性社員や管理職は他社より多く、女性社員30%という数字は大きい。ただ女性が増えなければならない理由は今まで反映されなかったマイノリティーの声を取り上げることだ。次の段階に視点を変えていく必要がある。

 インタビューをする相手も男女半々にするのが世界の動きだ。女性記者が男性記者と同じように男性有名人に取材していては、女性記者が増えても何も変わらない。男性記者が取材しない活躍する女性を探し、取り上げなかった問題を取材するなど、女性の視点を増やし、多様性を確保することこそが重要だ。

 そのためには「早朝から深夜まで警察幹部に張り付いて話を聞く」といった、報道各社に連綿と続く男性性を帯びた規範意識や慣習をどこまで変えられるかが大きい。

 デジタル化が進んで新聞の購読部数が減少する危機的な状況にあって、生き残るためにどんな情報を出すのか、各社はあらゆることをしている。自分たちが今後どんな立ち位置で、どのように読者に寄り添うのか。自分たちのジャーナリズムを考えることは、女性記者が増える意義を考えることに直結している。危機感を持って取り組む必要がある。
 (ジャーナリズム研究)

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