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<書評>『対米従属の構造』 「自発的隷従」の実態解明

『対米従属の構造』古関彰一著  みすず書房・3960円

 日本は米国の「属国」である。従属的独立国家・日本の属国的民主主義は、どのように誕生し、構造化されたか。本書は日米安保と憲法研究の大家が、膨大な資料を駆使し「自発的隷従」国家の実態を解明し、対米従属者に開眼を迫る一冊である。

 日本人は一度勝負に負けると子々孫々まで勝者の支配に自発的に隷従する卑屈な国民。そんな屈辱的な事実を、開示された超一級の極秘・機密資料と膨大な主要研究論文を駆使し、理路整然と告発している。

 「属国」が宗主国に逆らえばどうなるか。属国の政権は短命に、官僚は左遷、政治家はその地位を失う恐怖に震える。

 戦前、この国の国民は大日本帝国憲法と天皇、統帥権、勅語、国体に支配された。戦後は「日米安保と米軍」が憲法の上に君臨し天皇、勅語、国体にとって代わってこの国の国民と主権を掌握・支配しているという。

 例えば、米軍の機密漏えいと基地侵入に厳罰を科す「刑事特別法」。米軍の不法行為による賠償責任を日本政府が負う「民事特別法」。国有地の無償使用特権と返還時の原状回復請求を放棄させる「国有財産管理法」。米軍基地建設に私有財産の強制収用・使用を許す「土地等使用特別措置法」―。次々と本書で例示される事実は読む者の目に痛い。

 日米安保と米軍支配は、国民も国民代表(国会議員)も手を出せない「絶対的な最高の存在」との共同幻想がはびこる。

 だから地位協定や思いやり予算など優遇特権、主権譲歩、免法特権、主権放棄による対米軍従属は、この国の国民と政治家の「自発的隷従」で維持継続されるという。敗戦による「負け犬根性」の極みが日米安保支配の根底にある。

 「隷従の下」に置くと記す降伏文書を「制限の下」と誤訳し、敗戦を終戦に、占領軍を進駐軍に、平和条約を講和条約と言い換え、米軍支配の対米隷属国家の実態をひた隠す。そんな「安保の呪縛」を解く国民必読の書である。

 (前泊博盛・沖縄国際大学教授)


 こせき・しょういち 1943年東京生まれ。早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。獨協大学名誉教授。和光学園理事長。専攻は憲政史。著書に「平和憲法の深層」「日本国憲法の誕生 増補改訂版」「沖縄 憲法なき戦後」など。



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