コロナ禍、日系医師らが安心提供 ボリビアでネット診療開始


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オンライン遠隔診療をする医療チーム

 日系医療チームによる、日系人のための遠隔診療サービス「あんしんネットワーク」が今年から本格始動している。日系人が健康不安を覚えた場合、医療や理学療法、臨床心理などさまざまな分野に関して、オンラインツールを使って相談できる。チームのメンバーは「ボリビアの日系社会に安心・安全を提供したい」という思いを持って活動を続ける。

 昨年3月、ボリビアで新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されて以来、12月末日で感染者数が約16万人、9千人以上の死者を出し、いまだに収束の兆しが見えていない。日系人が多く住むサンタクルス県は国内で最も感染者が多く、オキナワ移住地内でも感染者が確認されている。

 新型コロナの感染拡大に伴う長期のロックダウン措置中、オキナワ診療所を含む県内の日系診療所は原則閉鎖となった。緊急対応のみで、十分な診療や往診ができない状況にあった。特に高齢者は外出禁止で、体調を崩しても病院や薬局に出掛けることができない。移住地生活の楽しみである、行事やデイサービスは再開のめどが立たず、不安とストレスを抱えながら生活している。

 そこでボリビア日系協会連合会、サンタクルス中央日本人会、日系診療所は、国際協力機構(JICA)の協力を得て「あんしんネットワーク」を設立した。医師は山城ジョニーさんと五十嵐正美さん。理学療法士は八田生香さんと仲村ディアナさん。臨床心理士はアシミネ晴美さん。日本で研修を受けたJICA帰国研修員も携わっている。

 サンタクルス中央日本人会診療所運営委員長及び所長のイノウエ和雄先生(67)は「若い日系医師たちがチームを形成し、ボリビア日系社会のために団結し頑張っている。将来的にはボリビア全国の保健向上のために尽力することを目指している」と意気込む。

 (安里玉元三奈美通信員)