大宜味村大保で「断捨離ショップ」を経営する瀬長瞳さん(83)は、那覇市役所職員を経て、40年以上カナダで生活した。「日本は男性優位なままで、何を決めるのも男ばかり。変わらなければならない」と力を込めた。
幼い頃に参加した親戚の行事では、男が居間で酒を飲んで談笑し、女が台所に立ちお膳立てする。食器洗いを手伝わされた時は「何で弟にはさせないのか」と不満をもらしたが、母は黙ったままだった。
市役所勤務時代はわが子を守るために、労働組合公立保育所設置や産前・産後休暇を求めた。その後「子どもの将来の可能性を広げるため」に、子を親戚の元に預けて単身でカナダに移住し、美容師として働いた。
夫のジェリー・ホーファーさんは、パーティーの時に料理を取り分けてくれるなど「女性を軽視しない。人権や地位を認めていた」と振り返る。2017年の帰国後に友人とバイキングに行くと、夫のために料理をお皿に取り渡す妻の姿を見て「これが普通か」と思わず口にした。以前よりも管理職に就く女性の数は増えたが「女性軽視というか、男性優位なままの社会と感じる」
昨年11月に「障がい者の働く場をつくりたい」とショップをオープンした。「誰かの役に立ちたい。弱者を守りたい」と語る姿は、沖縄のために闘った父・瀬長亀次郎さんと重なる。年齢や性別にとらわれず、自身の道を歩んでいる。
(喜屋武研伍)