沖縄津波対策、与那原は4F以上アパートを「避難ビル」指定 オートロックの課題も


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地震、津波に備え、テントや担架、ヘルメットが用意されていることを説明する國仲健次東浜自治会長=5日、与那原町東浜の東浜地区コミュニティセンター

 太平洋に面する与那原町は、災害ハザードマップによると、沿岸付近を中心に5~10メートルの津波が押し寄せる恐れがあるという。10メートルの津波は3階建て程度の建物が水没する。

 町は2013年、津波を避けるための一時的な避難場所を確保するため、避難経路沿いに立地する4階以上のマンションやアパートなどの建物を「津波避難ビル」として指定した。現在指定している建物は15カ所。最近では町内に10階以上の高層マンションもあり、町は「建物の所有者に承諾を得ながら津波避難ビルの指定を増やしたい」と意欲を示すが、オートロックシステムのビルは対象外などの課題も残る。

津波避難ビルに指定されたアパート=5日、与那原町与那原

 東日本大震災の発生以降、与那原町は毎年「津波防災の日」の11月5日に、5千人規模の地震・津波防災訓練を開催している。埋め立て地の東浜地区では、震災前から南海トラフ地震を想定した自主防災訓練を実施している。東浜自治会の國仲健次自治会長は「東浜は海抜5メートル未満の低い土地なので、津波の被害は確実に大きい。住民の命を守るためにも防災意識の向上に努めている」と話した。

 17年に初の夜間訓練も実施し、住民は暗い夜道での避難を体感した。國仲会長は「地震や津波はいつ起きるか分からない。これからも、あらゆる場合を想定した訓練を実施したい」と意気込んだ。

 一方、重度の障がい者や高齢者の避難対応など、課題も多いという。さらに新型コロナウイルスの感染拡大によって昨年の訓練は中止になった。「コロナ禍での避難など、住民や行政と議論を深めながら一つ一つ課題を克服したい」と語った。
 (金城実倫)

詳細、地域の取り組みはデジタル版(紙面ビューアー)3月10日付の17~16面
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