岩手県の県紙、岩手日報社は東日本大震災から10年を迎える3月11日正午から、震災復興の今を伝える3・11「特別号外」800部を那覇市のパレットくもじ前で配布する。県内での配布は昨年に続き2回目。同社の東根千万億(あずまねちまお)社長は10日に琉球新報社を訪れ、特別号外発行の意義や沖縄で配布する思いを語った。 東根社長は、沖縄と岩手は中央からの収奪や戦争の犠牲を強いられたとして「似たような境遇に置かれたと思う」と指摘した。沖縄県民が被災地に心を寄せていることに対し、感謝の気持ちを込めた。 号外は復興の今を伝える特別号外と、記録紙的位置付けの「10年の歩み」の2冊20ページ。沖縄など他府県と岩手県との縁をつなぐ人々も紹介している。
■東根社長「教訓学んで」
―10年の節目で特別号外を沖縄で配布する思いを。
「沖縄の方々は戦後のご苦労、基地問題を一心に背負わされている。首里城焼失は想像を絶する衝撃だったと推測する。新型コロナウイルスの影響があり、観光立県沖縄は苦難の道を歩いている。それでも震災を忘れず、励ましてもらっている。(特別号外を)直接お渡ししたい」
―岩手の状況は。
「三陸道の整備は猛烈なスピードで進み、漁港、住宅のかさ上げもでき、ハードの復旧は進んだ。ただ、なりわいの再生はまだ。これから本当の意味での復興が始まると思う」
―震災に向き合う岩手日報の報道姿勢とは。
「地元紙として(震災を)忘れない、風化させないという思いで報道している。災害への教訓を学んでもらいたい」
―県民に伝えたいのは。
「気候風土、文化は違うが、似たような境遇に置かれた地域。同じ思いを持った友人、仲間がつくった新聞なんだと思い、手にとっていただきたい」