自主防災組織11町村なし 世帯カバー率は全国最低の33% 沖縄


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 東日本大震災の発生から10年を機に、本紙が全市町村の防災担当を対象に防災アンケートを実施したところ、地域防災を担う自主防災組織が、全体の3割にあたる11町村で取り組みがないことが分かった。また、総務省消防庁によると、県内の自主防災組織の世帯カバー率(全世帯に対し活動範囲の地域にある世帯の割合)は33.1%で、全国最下位(2019年4月1日時点)。全国平均の84.3%と比較しても大きく下回っている。世帯カバー率で50%に満たないのは全国でも沖縄県しかない。

 阪神大震災後に改正された災害対策基本法では自主防災組織の育成が自治体の責務とされている。地域の自治会単位で防災組織があることが理想だが、市町村によっては、全自治会の数に満たないところも多い。

 自主防災組織が「ない」と回答したのは、東村、今帰仁村、伊是名村、渡嘉敷村、座間味村、粟国村、渡名喜村、南大東村、北大東村、与那国町、多良間村。自主防災組織がない理由として「地域の消防団がその役を担っている」(多良間村、粟国村)などの回答があった。

 自主防災組織が最も多いのは那覇市の86団体。うるま市の55団体、石垣市の45団体が続く。一方で、自主防災組織が「ある」と回答する30市町村でも、5団体未満など少数にとどまるところが10町村あった。

 大規模災害時には、建物の崩壊や火災、津波など同時多発的に発生するため、消防機関や行政の対応の遅れが生じる恐れがある。迅速な避難につなげるためには自主防災組織の存在が不可欠となる。

 琉球新報は2月15日~18日にかけて全市町村を対象に、ファクスで防災アンケートを送り回答を得た。

(新垣若菜)