地域独自の防災計画必要 行政の取りこぼし可視化 松村直子さん 日本防災士会県支部


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地域の災害リスクへの対応をまとめた「地区防災計画」の作成を求める防災士の松村直子さん=8日、北谷町

 日本防災士会沖縄県支部の松村直子さん(47)は「自主防災組織を効果的に活用するためには、津波や土砂災害などその地域ごとで異なる災害リスクの洗い出しと対策を徹底的に練って、まずは地域独自の教科書である『地区防災計画』を策定することが必要だ」と強調する。支援の限界がある行政の公助を補い、住民がつくる“地域の計画書”で、より実効性のある防災行動につなげることができる。

 地域の防災活動の推進を図り、2014年から内閣府が地区防災計画の策定を呼び掛けている。全国では約5~6千の自治会が策定しているが、県内ではまだ進んでいない。松村さんは2019年度から国の地区防災計画の策定支援地区に指定されている、北谷町美浜区と謝苅区の策定補助を務める。「行政には取りこぼしが必ずある。例えば避難の支援が必要な高齢者や障がい者などは、本人が手を挙げなければ名簿に記載されることがなく、情報として漏れる部分がある」。行政にはない地域の情報で「より地域の問題を可視化することができる」と語る。

 県内の多くの自主防災組織が行う避難訓練などについて「訓練は大事。ただそれが主体的ではなく、準備されたものをただ体験しているという状態になっている」と指摘する。訓練する前に、地域のヒアリングが何よりも大切だと訴える。誰がどれだけ危険にさらされているのか、どこと協力ができて、どこまで対処できるのか―。「自分たちのことを徹底的に知ることで、限界も分かる。行政へ求めることも明確になり、役割分担ができる。互いへの依存がなくなる」

 そのために、地域のことを文字にし計画書としてまとめておく必要性を強調する。「防災は本当に人任せにできない」と何度も繰り返した。