<市町村防災アンケート>避難所周知、再検証を コロナで密回避、駐車場の確保も必要 防災士・稲垣暁さんに聞く


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
稲垣暁さん

 災害時の避難所運営の課題について、防災士の稲垣暁さん(60)に聞いた。

 

―現在、避難所利用者に想定される課題はどのようなものがあるか。

 「昨年、避難所で避難者や運営職員から聞き取り調査を行った。避難者からは避難場所がよく分からないとの意見があった。行政の資料では住所のみの記載で、確かに分かりづらい。災害別で開設場所が異なる上に指定避難所、自主避難所、収容避難所など種類があり、どこに避難していいか迷うことも多いだろう」

 「避難者は高齢者が多く、ホームページや携帯の速報メールなどを見ることはほぼない。きちんと伝わっているのか、避難場所に関する周知方法の再検証が必要だ」

 

―コロナ禍で避難所の運営はどう変わったか。

 「今後想定されるのは、密を回避するために車中避難を選択する避難者が増えることだ。感染対策として避難所での収容人数に制限があるので、車社会の沖縄では車中避難が増加の一途をたどると考えられる。近くの施設と協定を結ぶなど駐車場の確保が不可欠となる」  

 

―新型コロナの影響で在宅避難を選ぶケースもあるのでは。 

 「当然、それもあり得る。沖縄は強い地震にあまりなじみがないので対策が弱い。家具転倒防止など、普段から頭に置いていてほしい。これまでは避難所支援に重きを置いていたが、コロナ禍で多種多様な避難ケースが出てきた。住民自身が災害に対する意識を向上させるのはもちろんだが、行政も必要に応じた柔軟な支援体制が求められる」 (聞き手・新垣若菜)