屋根にはシーサー 被災地を望む展望台が完成 伊是名出身の名嘉さんが自宅前に建設


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伊是名島出身の名嘉幸照さんが私財を投じて建設した展望台。屋根には二度と災害が起きないよう願い壺屋のシーサーが設置されている=11日、福島県富岡町

 【福島県で問山栄恵】富岡町の原発設備メンテナンス会社「東北エンタープライズ」会長の名嘉幸照さん(79)=伊是名村出身=が町小浜にある自宅前に私財を投じて建設していた展望台が11日までに完成した。展望台からは大平洋や復興が進むJR富岡駅周辺の町並みが一望できる。屋根には二度と災害が起きない平和な世の中を願い、壺屋焼のシーサーを設置した。名嘉さんは「帰還した人や避難先から戻ってくる人たちに古里が復興する様子を見て感じてほしい」と話した。

 展望台は昨年12月に着工した。高さ約6メートルの木造2階建てで、屋根の一部には、沖縄県から提供を受けた首里城の破損瓦を組み合わせて、沖縄本島と名嘉さんの古里・伊是名島を形作った。シーサーは現代の名工の故・高江洲育男さんが40年ほど前に手掛けたもので、伊是名出身者や沖縄の友人らのつながりで安価で譲ってもらった。

 展望台の2階からは、福島第2原発などが見渡せる。富岡駅周辺は整備が進み、がれきに覆われていた風景は大きく変わっているという。名嘉さんは「展望台は町への恩返し。気軽に立ち寄ってほしい」と話した。