地権者変更を問題視 市議会で野党「説明不足」 旧名護消防庁舎跡地


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
宿泊・商業施設の建設が予定されている旧名護消防庁舎跡地=12日、名護市東江

 【名護】名護市議会(大城秀樹議長)の3月定例会一般質問で10日、市が2019年7月に大和ハウス工業沖縄支店とアベストコーポレーションの共同企業体(JV)に売却した市東江の旧名護消防庁舎跡地(約5千平方メートル)に関し質問が相次いだ。売却後、JVが不動産業者に土地の所有権を譲ったことについて野党市議が「市議会で審議時、(配布した計画書について)十分な説明が無かった」と指摘。市は、継承は当初から計画されていた旨を説明した。同地はJVが宿泊・商業施設の建設を予定している。

 名護市によると19年4月の公募型プロポーザルで、JVは地域貢献として「名護市を所在とする新設法人を設立し事業運営をする」と提案していた。市議会が同7月に売却案を可決した際、市は議会にこの提案を盛り込んだ事業計画書を提出していたが、新設法人は具体的に決まっていなかった。

 同9月、契約書をそのまま引き継ぐことを条件に、施設完成後の管理を担う法人として不動産業者「サーバント」(名護市仲尾)がJVから契約名義を継承した。市が承認した。土地代4億2千万円から保証金を引いた3億7800万円をサーバントが市に払った。同社について市は「プロジェクトの一員」としている。

 野党市議らは「市が十分な説明を行わなかった」として、サーバントが金武町から市内に移転した会社であることや、同社の実績などを疑問視している。

 市は取材に対し「新設法人については当初、市内の大型量販店の管理で実績がある金武町所在の会社が法人を新設する計画だった。金融機関の助言を受け、この会社の関連会社サーバントを同町から移転したいとJVから同年8月に報告があった」と説明した。

 市によると施設建設はコロナ禍の観光客減が影響し遅れている。金融機関と調整でき次第着工し、22年夏ごろの開業を目指している。