沖縄が日本に復帰して50年の節目に向けた米軍基地に関する日本政府への要請で、県は16日までに「在沖海兵隊の撤退」を明記する方針を固め、県政与党に伝えた。
玉城デニー県政が海兵隊撤退要求を明記するのは初めて。県が予定する「在沖海兵隊の撤退を含め」という表現は不明瞭だとして、より明確な「撤退を求め」に変えるべきだとする声が与党の一部から上がっている。県は今月内にも上京し政府に直接要請したい考え。
玉城知事は翁長前県政の継承を掲げてきたが、翁長前県政は海兵隊撤退という表現には消極的で、今回の表現は踏み込んだ形だ。翁長雄志前知事は海兵隊撤退を求める県民大会に参加したが、その後、「慰霊の日」の平和宣言では「海兵隊削減」と表現した。1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告など既存の計画を基本とする姿勢だったためだ。
玉城知事もその路線を踏襲しており、これまでは海兵隊撤退について「県議会でこれまで2度、全会一致で決議していることなどを重く受け止め」と自身の考えではなく、経緯として述べるにとどめていた。
16日までに県が作った最新の要請案は「在沖海兵隊の撤退を含め、当面は在日米軍専用施設面積の50%以下を目指す」と記述している。与党からは初の明記を評価する声が上がる一方、「含め」では要求事項とも例示とも受け取れるとして、もう一歩踏み込むよう求める意見がある。
大田県政時の「基地返還アクションプログラム」に匹敵するような、最終的に全基地を返還させる県独自の計画策定にまで発展させるべきだという意見も与党の複数会派から上がっている。県が具体的な返還計画を示さないことにも不満がある。
県は、50%を目指すという目標に向けた具体的な返還施設については示さず、日米両政府に検討を求める方針だ。その上で、地元の意向を反映させるために日米両政府に県を加えた3者で協議を行う「SACWO(サコワ)」を設けることも併せて要請する。