県立高校で部活動主将を務める2年の男子生徒が自ら命を絶った問題で、県教育委員会は19日、「(自殺の)要因は部活動顧問との関係を中心としたストレスの可能性が高い」とする第三者調査チームの詳細調査報告書(概要版)を公表した。生徒の学校がコザ高校であることも明らかにした。会見した金城弘昌教育長は「防ぐことができなかったことに対して慚愧(ざんき)の念に堪えない。ご遺族ならびに関係者に心よりお詫(わ)び申し上げる」と謝罪した。
県教委「慚愧の念」全県立校実態調査へ
会見にはコザ高校の東盛敬校長らも出席した。報告書を受け、県教委は全県立学校の部活動を対象とした実態調査を実施する。
報告書では、顧問が別の2人の生徒に対しても不適切な指導をしていたことが明らかになった。担当する授業で休みがちだった生徒に対し「休みすぎると(成績を)1にする」などと発言し、生徒は不登校になったという。もう一人は部活の女子部員で、鼻に指を入れたり、技を掛けて倒したりしていた。
いずれも県教委に報告はされず、顧問は処分を受けていない。調査チームは「調査や十分な対応がなされた様子がない」と学校を批判した。
また、亡くなった生徒に対し、部活動の成績を評価する特別推薦枠で入学した際、部活動をやめないことを求める「活動継続確約書」を学校が提出させていたことも判明した。
調査チームは「部活をやめたら退学になると誤解しやすい状態となっており、生徒を追い詰める要因となったと思われる」と指摘した。
「勝ち続けなければならない」という重圧や、連絡のため夜中まで続く無料通話アプリLINE(ライン)での顧問とのやりとりなども生徒のストレスの要因に挙げた。顧問が生徒に向けて送ったメッセージを削除していたことも調査で判明した。
部活動だけでなく、学園祭の時にも顧問の指示で生徒が古紙回収作業をし、クラスの出店に参加できなかったことも分かった。これらの日常的なストレスで生徒の精神状態は限界に近くなり、自殺を図った前日、別の施設に練習に向かう生徒に対して部活動を切り上げるのが早過ぎると顧問が叱責したのが「最後の引き金」となった可能性が高いと指摘した。
調査チームは管理職間の情報共有の強化、部活動の巡回、部活動ガイドラインの徹底など13の改善策を挙げた。
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