初回攻撃を支える足攻 「仕掛ける」技術上げ<具商・初センバツ 全員力で挑む>中


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秋季九州大会準々決勝で福岡大大濠に敗れ、涙する具志川商ナインたち=2020年11月3日、長崎県営野球場(大城直也撮影)

 積極的な走塁や盗塁で投手を揺さぶる機動力で、九州8強まで駆け上がった具志川商。とりわけ目を見張るのは走塁技術の向上で、公式戦のデータからも進化が見て取れる。

 3回戦で敗退した昨年の夏季大会が1盗塁だった一方、秋季は3回戦までに12盗塁と倍増。長打が多くない分、足を絡めた攻撃でこつこつと連打を放って得点につなげるスタイルを確立した。初回の攻撃を最重要視する喜舎場正太監督は「1分1秒でも早く自分たちのペースをつくった方が勝つ」。初回からヒットエンドランなどで相手にプレッシャーを与え具商リズムを生み出す。

 監督が練った戦略にナインもプレーで応えてきた。県、九州秋季大会の8試合中(6勝2敗)、5試合で先制しておりそのすべてが初回だ。真価が発揮されたのは、九州1回戦の東海大熊本星翔戦。初回に盗塁を成功させ守備をかき乱す。五回には本塁も陥れ、九州1勝を手にした。

 大会後は、陸上部から走塁の助言をもらい、ハードルを使った練習や瞬発力を鍛えるメニューを考案し技術を磨いてきた。その成果か、年明けに行われた県内野球部間で争う対抗競技会の塁間走で14秒78と1位に付けた。けん制も予想されるが、喜舎場監督は「出塁したら仕掛ける姿勢は貫きたい」と大舞台でも一泡吹かせようと心掛ける。

 磨いてきたのは走塁技術だけではない。九州大会で福岡大大濠に敗れた後、1人10万回のスイングを行った。人一倍振り込んできたのは最後の打席に立った大城勢武太だ。あの敗戦を「何かの試練だと思った」と好機で打てなかった悔しさをにじませる。昨秋は初球からフルスイングしていたが「投手の調子や配球をよく観察するようになった」。確実に出塁して打線をつなげ“具商野球”でしたたかに戦い抜く。
 (上江洲真梨子)

 

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