甲子園の舞台で選手と戦う 練習や試合を支えるマネジャー<具商センバツ 支えを力に>下


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
選手の活躍を日々支える中山真理萌(左端)と山城来(中央)らマネジャーたち=20日、うるま市の具志川商業

 具志川商ナインの日々の練習や試合を支えるのは、5人のマネジャーたちだ。選抜大会の抽選会前には、参加校の打率や対戦成績などを細かく調べたり、出発に向けて準備を進める保護者らを手伝ったりと献身的なサポートを続ける。中でも2年生の中山真里萌さんと山城来さんは選手に負けないほどに、甲子園の舞台へ熱い思いを抱く。

 同校OBの父や野球部員だったいとこの影響で野球好きになった中山さんは、2017年の選手権大会決勝戦に心を奪われた。初優勝した花咲徳栄(埼玉)対広陵(広島)の試合。技巧派、速球派のWエースを擁し、強打者がそろう広陵を抑えて優勝した姿は「初の決勝進出でも、エースが堂々と投げていて憧れた」とテレビ越しからその力投を感じ取っていた。

 「目配り、気配り、心配り」をモットーに笑顔を振りまく。特に「心配りは意識しないとできない。次は何が必要なのか、先回りして考える」。練習しやすい環境をつくろうと、常に選手の動向を気に掛ける。

 昨年の県、九州秋季大会にはスコアラーとしてベンチ入り。3月の選抜でもスコアラーとして活躍が予想される。17年に見た憧れの聖地へ「選手と(気持ちは)一緒で、一戦必勝で勝ちたい」と一蓮托生(いちれんたくしょう)の思いで本番を迎える。

 練習、試合と常にグラウンドのそばで車いすから選手を見守るのは、先天性の脳性まひで両足に障がいがある山城さん。テレビで見た甲子園の熱気、球児の奮闘にとりこになった。小学5年の時に地元の少年野球チームに入り、走塁コーチャーやスコアの記録係を務めた。中学は野球から離れたが、高校に進学すると、先に野球部にいた比嘉力太から「野球が好きなら一緒にやろう」と誘われ入部を決意した。

 「野球理論を勉強するのが好き」と、有名な野球選手や解説者の動画を見つけては、その知識をチームに還元する。選手の動画撮影や対戦校の分析などに携わる。喜舎場正太監督(33)は「彼も部員の一員。部員と同じように戦力として考えている」と共にナインを支える一人だ。

 大の阪神ファンで、甲子園球場に阪神の試合や高校野球の観戦に行ったこともある。次は“選手”として甲子園に足を踏み入れる。「その場に、みんなと一緒に行けることにわくわくしている」

 いざ、決戦の舞台へ。聖地でナインが巻き起こす“具商旋風”をその目で見届ける。

(上江洲真梨子)

【関連ニュース】
10年近く休部、雑草生えたグラウンド…「復活」支えた歴代指導者<具商センバツ 支えを力に>上
窮状にOBら立ち上がる「後輩を甲子園に」夢の芽が今…<具商センバツ 支えを力に>中
「甲子園で勝ちに行く」喜びと決意 具志川商、初の選抜出場決定
初の甲子園へ挑む具志川商 売りは「機動力」課題は…
「歴史を変えよう」甲子園決定の具志川商・喜舎場監督 母校を復活に導いた情熱