米軍の沖縄駐留「持続は困難」 米会計検査報告 辺野古遅れ「地元の反対や環境分析」と説明


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新基地建設現場=2020年9月3日午後、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸

 米会計検査院(GAO)は18日までに、日本と韓国に駐留する米軍の利点や経費について点検した米連邦議会宛ての報告書を公表した。名護市辺野古の新基地建設に関し「地元の反対と環境分析によって大幅に遅れている」と説明した。工事の長期化につながった軟弱地盤が念頭にあるとみられる。また、専門家の指摘を引用する形で「沖縄のような地域での反対の程度を考えると、政治的に持続可能ではない」とも記した。

 2020会計年度の米国防権限法が政府に対し、議会への報告を求めていた。GAOが米国防総省と国務省、政府に所属しない専門家9人に聞き取り、公式データを分析した。GAOは日本に米軍約5万5千人が駐留し、16~19年の経費は2.4兆円に上ると説明した。韓国では2万8500人おり、同期間の経費1.6兆円が計上されたという。

 専門家たちは米軍の日韓駐留が地域の安定と安全の維持に貢献しているという考えに同意する一方、複数人が課題を指摘した。専門家のうち6人は「基地周辺住民による米軍への反対と不満」を挙げた。2人は「前方に展開された軍隊は、中国や北朝鮮など敵からの攻撃に対し、脆弱(ぜいじゃく)になってきている」と指摘している。

 国防総省関係者の話として、在日米軍が嘉手納基地に新しい格納庫を建設する事業について日本側の支出を求めたが、日本政府は騒音に関する地元の懸念を理由に拒否したと記載されている。