前途ある男子高校生が自ら命を絶つという、悲劇は防げなかったのか―。コザ高校の運動部主将自殺に関する調査報告書に関して、県庁で19日に記者会見が開かれた。部活顧問の男性が数年前から別の生徒にも不適切な言動を重ね、今回の事案につながる“兆候”があったことが明らかになった。県教育庁が用意した15分の質問時間では収まらず、学校側の対応を疑問視する質問が相次いだ。遺族の意向もあり高校名が公表された異例の会見は、2時間半近くに及んだ。
「鼻に指を入れられたり、いきなり技を掛けられ倒されたりして、副顧問に相談があったようだ」
会見に同席したコザ高校の東盛敬校長は、自殺した男子生徒の顧問が過去に別の女子部員にも不適切な対応をしていたと説明した。顧問が担当する授業での発言がきっかけになり、別の生徒の不登校を招いたこともあった。
ただ、いずれのケースも顧問は処分されていない。東盛校長は「赴任する前のことだった」として、異動時に口頭でしか引き継ぎを受けていなかったと釈明した。東盛校長によると、顧問はそりが合わない同僚にも時に感情的になり、命令口調になったり、投げつけるような言葉を発したりすることがあったという。
顧問は男子生徒に「キャプテン辞めろ」などと荒い言動を繰り返し、学校行事にも部活動の指導を持ち込み、学園祭では男子生徒に活動費捻出のため古紙回収作業を命じた。自殺に関する調査報告書からは、行き過ぎた「勝利至上主義」(金城弘昌教育長)が男子生徒に過度なプレッシャーを与え、精神的に追い詰めた様子が浮かび上がる。
コザ高校には30ほどの部活があるという。強豪校ゆえに部活の論理が優先されていなかったか。東盛校長は「部活動の活性化は学校の活性化につながる。県高校総体の連覇を目標に据え、文武躍動をスローガンに学力の向上も同時に掲げている」と強調した。
再発防止には顧問の指導に関する全容の解明が不可欠になる。関係者によると、顧問は前任校でも厳しい指導で知られていたという。会見の最後にこの点を問われた玉城学県立学校教育課長は「分からないというのが現状だ」と答えるにとどめた。
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