【島人の目】二人の友人の死


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 私の周辺で長年にわたって車のメカニックをしていた70代後半の沖縄出身者が新型コロナに感染して他界した。2カ月前に車を修理してもらったばかりだった。仕事熱心で多くの顧客がいた。ところが、新型コロナが蔓延(まんえん)しているにもかかわらず、彼がマスクをしている姿を見たことはなかった。それに加えて、彼は糖尿病を患っていた。

 もう一人の友人、メキシコ系の彼はまだ40歳前、滞米歴は20年を過ぎていたと思う。私のもとにヘルパーとして来た時は17歳の少年で、英語も十分に話せなかったし、太っていたため使いものにならないと判断した。だが、彼は技術の習得や英語の理解力が抜群だった。2~3年すると彼は独立して、ガーデニングや家屋の内装、冷蔵庫やヒーターの修理など、あらゆる仕事をこなすようになった。滞米10年もすると家屋を購入し、銀行には莫大(ばくだい)な預金を持つようになった。だが、1月13日ごろに体調不良で入院、新型コロナ感染と判明し、同26日他界した。

 私の度重なる助言にも耳を貸さず、永住権を申請せず現在に至るまで不法入国者で過ごしていた。大きな財産はどうなるのだろうか、米政府に全て没収されるのだろうか、妻や子どもらはどうなるのだろうか、気掛かりだ。

 1月26日、私たち夫婦は1回目の新型コロナワクチンの接種を受けた。ロサンゼルス郡では接種の希望者が多く、大変な状況だが私たちはラッキーだった。

 (当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)