【識者談話】コロナ下で行き場のない子ども支えるには 島村聡氏(沖縄大教授)


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島村聡氏(沖大教授)

 新型コロナウイルスの感染拡大で休校が長期化し、公的サービスも制限される中、民間が運営する子どもの居場所が行き場のない子どもを受け入れる事例が多くあった。裏を返せば、居場所が地域に定着し、広く認知されてきたということでもある。

 県内の一部地域では居場所を支えるネットワークの構築が進んでおり、支援が必要な世帯や居場所からの「SOS」をキャッチし、食料を提供するなど双方向の情報共有ができていた。普段から支援基盤があることで、緊急時にセーフティーネットが機能するということが明らかになった。

 要支援者を適切な機関へとつなぐため、他の施設とのつながりや行政を含めた組織化が求められるが、未整備の地域はいまだ多く、居場所が孤立するという課題は残ったままだ。ネットワークの構築において、行政の役割は大きい。今回の調査で顕著だった学習意欲の低下についても、子ども自身の意欲が低いわけではなく、インターネット接続環境の問題があった。行政は通信インフラ整備を積極的に担うべきだ。
 (社会福祉)