〈66〉鬼滅の健康法 加工食品避け肥満予防


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2020年は「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が大ヒットしました。昨年末までに興行収入は約325億円となり、国内で上映された映画では歴代1位となりました。観客動員数は昨年12月6日までで2152万人超え。新型コロナウイルス禍に不要不急の外出を控えるようにと政府が訴える中で、なぜここまで観客を動員できるのか。いや、むしろ、コロナ禍にあるからこその現象なのかもしれません。というのも、鬼滅の刃のストーリーは、恐ろしい鬼が村に突然現れて人を襲っていくという内容らしいのです。

 家から一歩外に出ると突然襲われるかもしれないという点では、「鬼」と「コロナウイルス」の共通点なのではと考えました。つまり、私たちを家の中に軟禁状態に追い込んだコロナウイルスを鬼と重ね合わせて鬼退治を見ることで、鬱憤(うっぷん)を晴らすという面があるのかと愚考しました。

 さらに話を広げると、家の外に潜んでいる鬼のように恐ろしいものは他にもあるように思います。

 例えば「加工食品」などはそれに該当するのではないでしょうか。加工食品(パン、うどんなども含む)は、人間が手を加えることで天然に備わっていた健康によい成分(食物繊維など)が取り除かれてしまっていることが多く、肥満の原因になる高インスリン血症を招きやすくなることが多いのです。そのような加工食品を取ることで肥満になりやすくなります。

 肥満関連疾患は年間で400万人もの命を奪う恐ろしい病です。その恐ろしい肥満症の一因となりうるのが加工食品です。いつの間にか体内へ侵入し、体の内側から病気を起こすなんて、まるでウイルスのようです。

 確かに加工食品は便利です。忙しい親がつい食卓に並べてしまうのは理解できます。しかし、子どもたちの将来を考えるとき、なるべく食卓に置かないでほしいと願います。白米と玄米はたとえ同カロリーでも脂肪組織への影響は全く異なります。白米は、精米の過程で健康によいビタミンやミネラル類がそぎ落とされてしまいます。抗肥満の観点からすると、カロリー制限のみならず天然食材の積極的摂取を意識することをおすすめします。

(比嘉盛丈、豊見城中央病院・糖尿病内科)