温室ガス 30年度26%減 県、50年度ゼロへ目標値


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 玉城デニー知事は26日、「県気候非常事態宣言」を発表し、2050年度に向けて温室効果ガス排出量を実質ゼロにすると表明した。気候変動が進めば経済や社会生活、自然環境に悪影響が生じることが懸念されることから、県、市町村、事業者、県民が気候変動の影響を理解し、持続可能な発展に取り組むことを宣言した。気候非常事態宣言を都道府県が出すのは、全国で5例目。

 非常事態宣言を発表

 玉城知事は「賢く快適に、脱炭素のライフスタイルへの転換をテーマに全力で取り組む。県民や事業者もぜひ一緒に取り組もう」と呼び掛けた。

 30年度までの10年間で目指す将来像を描いた「県クリーンエネルギー・イニシアティブ」も発表した。基本目標としてエネルギーの低炭素化・自律分散化・地産地消化を掲げ、30年度の温室効果ガス排出量を13年度対比で26%削減する。

 30年度に向けた重点プロジェクトとして(1)再エネ導入エリアの拡大(2)家庭や事業所への太陽光発電、蓄電池の導入拡大など再エネ自家消費の拡大(3)石炭より温室効果ガス排出量の少ない、天然ガスの利用拡大(4)公用車の転換など電気自動車の普及拡大―を展開する。

 目標指標として、再生可能エネルギーの電源比率を19年度の約7・5%から、30年度には18%に引き上げる。19年度に618ギガワット時だった再エネ電源による供給量を、新設備の導入加速化などで1352ギガワット時まで増やし、同時に省エネによって総電力供給量を8276ギガワット時から7509ギガワット時に減少させる。

 エネルギー自給率は18年度の約2・4%から5%への引き上げを目標にする。

 実現には、家庭や事業所に再エネ設備を導入するためのコストなどが課題となる。県は昨年、次期沖縄振興計画の制度提言の中に、蓄電池などを対象にした補助制度の創設や、再エネ設備を導入した際の税制優遇措置などを盛り込んだ。

 県産業政策課の担当者は「民間の意欲を喚起していきたい」と話した。

 50年度の脱炭素化を目指し、クリーンエネルギーの水素を利活用するためのインフラ整備や、波力・潮力発電など海洋再生可能エネルギーなどの開発促進など、将来の技術発展に備えたチャレンジプロジェクトも並行して進めていく。