民主主義 再出発を祝福 バイデン氏就任式 ゴーマンさんが詩


社会
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 1月20日、一人の若い黒人女性がバイデン米大統領就任式典で詩を朗読した。彼女の熱のこもったスピーチが終わると、招待客から拍手が沸き起こり、鳴りやむことがなかった。バイデン大統領夫妻やオバマ元大統領らに肩をたたかれ、退場する姿に接し、涙する人々もあった。詩のタイトルは「The Hill We Climb(私たちが登る丘)」だった。

 この女性は詩人のアマンダ・ゴーマンさん(22)だ。ロサンゼルス生まれ、シングルマザーに育てられた。海岸都市サンタモニカの小さな私立高校を卒業後、ハーバード大学へ進学して昨年、卒業した。

 ワシントン・ポスト紙によると、ゴーマンさんは幼少期から詩を作り始めた。発語障害を乗り越え、ハーバード大在籍時には優れた若い詩人に贈られる、全米青年冠詩人の称号を獲得した。今回の大役はジル・バイデン夫人による起用とも報道された。出版予定の3冊の著書は、それぞれ100万部が刷られるという。

 カリフォルニア州リバーサイド選出の日系連邦下院議員、マーク・タカノ氏(61)=民主党員=は新大統領の就任式に出席し、ゴーマンさんとの写真を羅府新報に投稿した。「彼女は今日のハイライトであり、全国各地にいる米国人の誰もが、彼女の言葉と彼女の存在に触発された」とコメントした。

 ゴーマンさんは詩で「民主主義は時折立ち止まることはあっても、決して恒久的に敗れることはない」「私たちが未来を見つめる一方で、歴史も私たちを見つめている」「国が壊れたわけではない、単に発展途上なのだ」「私たちが受け継いだよりも良い国を後世に残そう」などとつづり、新政権の船出(ふなで)を祝福した。

(当銘貞夫ロサンゼルス通信員)