「世界自閉症啓発デー」でバス体験ツアー 降車ボタンの押し方、運賃支払いなど学ぶ


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 毎年4月2日は、国連が定める「世界自閉症啓発デー」。県バス協会や県自閉症協会、県発達障がい者支援センターは同日、知的・発達障がい者を対象にしたバス乗車体験ツアーを那覇市おもろまちの那覇第2地方合同庁舎駐車場で開いた。当事者やその家族ら約20人が参加し、バスの乗り方や運賃の支払い方法などを学んだ。

バスの乗り降りの説明を受け、降車ボタンを押すツアー参加者ら=2日、那覇市おもろまちの那覇第2地方合同庁舎駐車場

 主催者側は写真を示しながらバスの乗り方や、IC乗車券「OKICA(オキカ)」を使った運賃の支払い方などを説明した。その後、参加者は停車した状態のバスに乗り着席し、降車ボタンを押してバスを降りる一連の流れを体験した。乗務員の帽子や手袋を身に着け運転席に座る撮影会もあり、マイクアナウンスにも挑戦した。

 大阪から沖縄に移住し、親子3人でツアーに参加した谷口涼海(すかい)さん(10)=南城市=は「次回から一人でバスに乗れそう。運転席からの景色はとても高かった」と話した。父親の太志(たかし)さん(45)は「これまで大阪でバスを利用してきたので、沖縄のバスの乗り降り方法やマナーを学ぶいい機会になった」と語った。

乗務員の帽子をかぶり、運転席に座る参加者=2日、那覇市おもろまちの那覇第2地方合同庁舎駐車場

 県バス協会は昨年11月に、知的障がいや発達障がいのある人への理解を深めるため研修会を実施。座学だけでなく、実践につなげようと今回の体験ツアー開催に至った。同協会の小川吾吉会長は「バス運転手と利用者の理解を深めるいい機会となった。今後も継続して取り組んでいきたい。全ての利用者に丁寧に優しく、ゆっくりとした説明を心掛けることが重要だ」と語った。