興南打線、11安打爆発 県春季高校野球V


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 第68回県高校野球春季大会(県高野連主催、琉球新報社共催)最終日は4日、アグレスタジアム北谷で決勝を行い、興南が4―0で沖縄尚学を退け、2年ぶり8度目の頂点に立った。準決勝までつながりを欠いた興南打線が、決勝で爆発。盛島稜大の大会第8号となるソロ本塁打に、二塁打4本などで11安打。犠打で確実に送って得点し、沖尚を突き放した。投げては準々決勝で、初完封した右腕の大山北斗が、決勝も九回途中までを投げ抜く好投。的を絞らせず、沖尚打線を封じた。 

沖縄尚学―興南 6回表無死、左本塁打を放つ興南の盛島稜大=4日、北谷町のアグレスタジアム北谷(大城直也撮影)

主砲盛島HRで息吹き返す

 主砲の復調ぶりが打線の発奮を物語っていた。息を吹き返した興南打線が長打、単打で得点を重ね、完封勝ちした。初戦から打撃がかみ合わず、3試合を1点差で勝ち抜いてきた。毎試合後に選手同士で反省点を出し合い課題を見つめてきた。そのかいもあって優勝戦で今大会初の2桁安打だった。

 4番の盛島稜大は準決勝までの4戦で15打数4安打だったが打点は0。大会前から調子を崩し、焦りから体の開きも早まって苦しんだ。準決勝を終えた夜、コーチから助言をもらい、決勝の朝は我喜屋優監督から手首の硬さを指摘されて「気持ちを切り替えた」。

 「手首は最初柔らかく。インパクトで絞るように」。アドバイスを思い返しながら六回の3打席目。カウント1―3からの5球目。内角への直球を思い切り振り抜いた。ライナー性の打球は左翼手が伸ばしたグラブの上を抜けてスタンドイン。

 2打席目は遊ゴロだったが鋭い打球だった。手応えを残しつつの3打席目は配球も読み切って強振した。初戦から先発で4番を任されてきただけにダイヤモンドを一周し「ほっとした」と思わず笑顔に。直後には下位からつないで追加点が生まれた。主砲の活躍が勢いをもたらした。

 決勝でそれぞれが役割を果たし、ようやく自分たちの野球を形にした。盛島は「次も自分たちのプレーを見せたい」と、九州大会、夏の大会に向け、堅実野球の精度を高めていく。 (謝花史哲)

沖縄尚学-興南 8回1/3を投げ、沖尚打線を4安打に抑えた興南の先発・大山北斗=4日、北谷町のアグレスタジアム北谷(ジャン松元撮影)

大山北 沖尚打線を抑え込む

 「ダブルエースで一緒に高め合っていきたい」。決勝の舞台で、沖尚打線を4安打に抑え込んだ興南の先発大山北斗は主戦を担っていく自覚を強くした。

 背番号1の山城京平はけが明けだったこともあり、登板を控えた。その穴を埋めるべく、3人の投手でつないできた。大山は準々決勝で完封し、決勝でも堂々の投球で精神的にも大きな成長を遂げた。

 この日の投球も頼もしかった。スライダーと尻上がりに球威を増す直球を駆使し、九回1死まで投げ抜いた。球数はわずか99。ストライク先行のテンポ良い投球で沖尚打線を手玉に取った。四回は7球で三者凡退に切って取り、三走を背負った唯一のイニングの五回も直球で押して3球三振で切り抜けた。

 「後半にかけてギアが上がってくる」と自らの調子を把握し、中盤から変化球主体から直球主体へと切り替えた。序盤に120キロ台後半だった球速も130キロ台に増し、勢いのある球筋で詰まらせた。

 それでも、2死から走者を出したことなどを強く反省。投手陣の層の厚さは夏の大会に向けての大きな武器となるだけ「完璧を目指したい」と、今大会の経験を糧にさらなる成長を誓った。