採用再開を待つか、進路を変えるか…沖縄で航空・観光業界を目指す就活生の今


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校内の飛行機内模型でドリンクサービスの練習をするエアラインビジネス科キャビンアテンダントコースの上原彩楓さん(左)と石川鈴奈さん=2月1日、那覇市金城のインターナショナルリゾートカレッジ

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、航空や観光業界を目指し、専門学校に入学した学生の就職環境が厳しさを増している。新型コロナの影響で、学生らが志望する観光業界などで採用中止や求人数の減少が相次いだ。先行きが見通せず、専門学校の担当者は「本当の意味でコロナの影響が出るのは今年かもしれない」と懸念する。困難な状況が続くが、学生らは前を向いて就活に臨んでいる。

 県内ホテル業大手、かりゆし(玉城智司社長)は今年と来年の新卒採用を見送った。県内の観光業界の状況について、玉城社長は「あと1、2年は厳しいだろう」と見ている。「学生にとって採用がなくなってつらいと思う」と心境をおもんぱかる。今後の状況は観光支援事業「Go To トラベル」の再開時期が鍵を握ると考えており、「コロナ後の観光需要回復に向けて今は耐えるときだ」と強調する。学生に対して「長期的な目線で社会人生活を考えてほしい。諦めず、採用が再開するのを待っていてほしい」とエールを送った。

 那覇市にある専修学校インターナショナルリゾートカレッジ(irc)では、エアラインビジネス科やホテル・ブライダル科など5学科を開設しており、航空や観光業界を目指す人材を育成する。担任教員が中心となって学生の就活を支援しているが、企業の採用環境が改善しない中で、他業界への就職を目指す学生も出ているという。

 ircのエアラインビジネス科キャビンアテンダント(CA)コース3年の、上原彩楓(さやか)さん(20)と石川鈴奈さん(20)は、CAを目指して就活を続ける。「採用取りやめと発表している会社もあるが、諦めず待ってみたい。同時進行で他の業界にも目を向けて就活をする」と説明する。これまで先輩の就活を近くで見てきたという。新型コロナ禍でも前向きに取り組む姿を見て「諦めずにCAになるという夢をかなえたい」との思いが強くなった。

 ircを卒業し、県外の鉄道会社に就職した與那妃華さん(21)、比嘉琴乃さん(21)、泉川明日香さん(21)は、就活を続けていた昨年5月中旬に、航空各社の採用中止に直面した。CAになることが目標で「お先真っ暗」だったと振り返る。やりたい仕事について考えることから就活をやり直し、内定をつかむことができた。與那さんらは「コロナで大変な中、採用してくれた会社のためにできることをやって、恩返しをしたい」と感謝した。CAになる夢について「しっかり働いて、何年後かにチャンスがあれば挑戦したい」と話した。
 (吉原玖美子)