「ハンセン病への理解広がる」 故金城さん、絶えぬ来館願う 愛楽園交流会館が感想文集


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 周子
文集を手に「多くの人に読んでもらいたい」と話す沖縄愛楽園交流会館学芸員の辻央さん=3月、名護市済井出の沖縄愛楽園交流会館

 名護市済井出の沖縄愛楽園自治会と同交流会館はこのほど、来園者の感想文集「手をつなぎともに生きる社会へ」の第2号を発行した。3月8日に急逝した金城雅春さん(享年67歳)の社会への願いが巻頭あいさつとして掲載されている。

 金城さんは、交流会館(2015年開館)来園者が3万人を超えたことに触れて「ハンセン病を巡る問題への、理解の裾野(すその)が少しずつ広がっていることを感じる」と指摘。「今後も多くの方に(同館に)足を運んでいただきたい」と呼び掛けた。

 愛楽園自治会長として生涯を通じてハンセン病問題の啓発に尽力し、人権の尊さを訴え続けた金城さんの思いが交流会館に詰まっている。開館以来、差別や人権を考える場所を社会に提供し続けてきた。

 寄せられたアンケートには「国策に心底、怒りを感じる」「何も知らなかった。ごめんなさい」など、元患者の苦難に思いを重ねた感想がある。「差別撤廃へできることに取り組む」「正しい知識を一人でも多くに伝える」など、金城さんの願いの継承を誓う内容も多い。

 交流会館学芸員の辻央さんは社会が新型コロナ禍にあることに触れ「ハンセン病と新型コロナウイルス感染症は、全く性格の異なる病気だが、ハンセン病を巡る
問題はコロナ禍を生きる私たちに大切なことを伝えている。ぜひ、感想文集を手に取ってそのことを感じていただければと思う」と願った。

 感想文集第2号は、第1号から続く2016年4月から17年3月末までの来館者アンケートをまとめた。全91ページで500部を発行した。同園自治会は県内各地の図書館などに寄贈した。本島北部地域の小中学校にも寄贈する予定で、希望者には交流会館で無料配布する。問い合わせは同館(電話)0980(52)8331。 

(佐野真慈)