ニューカレドニア、2度目の外出禁止令 ワクチン接種は円滑実施


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誰もいなくなった広場=ニューカレドニア

 3月5日の早朝、ニューカレドニア全域に津波警報が出た。首都ヌメアで初めての津波警報。その数日前から大型台風の到来が予想されており、多くの市民はサイクロンに備えて買い物に出ていた。幸運にも予定時間に到達した津波は30センチ程度で人的被害はなかった。翌日の夜からは台風がニューカレドニア全土を通過し、大風が吹き荒れた。

 そして3月7日の夜のニュースで、高等弁務長とニューカレドニア政府主席が並んで会見した。新型コロナウイルスの感染者が確認され、翌日の午前0時から2週間の緊急態勢に入ることを宣言した。ニューカレドニア市民は、とどめを刺されたように感じた。

 去年3月に1カ月の外出禁止令を経験した。1人でも感染者が出たら緊急態勢に入ることは以前から通達されていた。罰則を伴う厳格な体制は功を奏し、その後1年、ニューカレドニアはマスクなしで通常の生活を享受できた。政府は厳重な水際対策で人々の出入りを管理した。

 新型コロナで大打撃を受けた観光業危機の打開策として政府は2020年8月、感染者がいないとされているフランスの海外準県ワリス・フツナ諸島と安全圏協定を結び、旅行を許可することを打ち出した。それまではニューカレドニアに多く移民を送る島々としての認識しかなく、旅行地としては注目されなかった地域だ。ワリス・フツナとの安全圏協定の先には、今年4月にバヌアツ共和国やフィジーとの協定が計画されていた。そして近い将来はニュージーランドやオーストラリアとも協定を結ぶ狙いがあった。それが水の泡となってしまった。

 政府はワリス・フツナの旅行者9人からウイルスが検出されたことを発表し、すぐに隔離した。1月25日以降、この島へ旅行した人に検査を呼び掛け、ほとんどが応じた。しかし、3月7日までの空白期間に感染があった可能性は否定できない。毎日の感染者数に一喜一憂する市民だが、0件が3日ほど続いた後に1件の報告があり、3月18日には外出禁止令が1週間延長された。3月7日の宣言以来、同24日までに62人からウイルスが検出され、隔離された。感染者すべてがフランス本国からの旅行者とワリス・フツナ関係が感染元と判明している。

 政府主席は「現在この島の人々すべての協力のおかげで、ニューカレドニアは多分、世界のモデル地域だ」と述べた。厳重体制の中、1月にワクチン接種も始まった。最初は病院が密の状態になり非難を浴びたが、外出禁止令が出てからは受け入れ態勢も劇的に改善され、多くの人がスムーズに接種を受けている。また、コロナ対策委員長の医師が現状では再びコロナ感染者ゼロに戻る可能性があることを発表し市民に希望を与えた。

(山田由美子ニューカレドニア通信員)