辺野古工事入札「ブラックボックス」 防衛局、外部から聴取せず


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に絡み実施されている埋め立て工事の入札を巡って不可解な落ち込みが見られた「加算点」は、公共工事の入札方法で受注者を決定する重要な判断指標とされる。

 審査には「中立かつ公正な審査・評価」が求められるが、沖縄防衛局は「適切に評価を行った」と言うのみで、審査過程を明らかにしていない。受注業者選定のプロセスが、事実上の「ブラックボックス」となっている。

 国土交通省が示すガイドラインによると、加算点は、低価格入札による「公共工事の品質低下」などを防ぐ目的で導入された入札方法「総合評価落札方式」で採用される評価項目。

 入札に参加する業者の技術力などに応じて付与される点数で、この加算点に加え、入札条件をクリアした業者に一律で付与される「標準点」、「施工体制評価点」を合計した点数が「技術評価点」となる。

 入札金額に差が生じなかった場合、この技術評価点が最も高い業者が落札する仕組みとなっている。

 「シュワブ(H29)埋立工事(3工区)」の工事では、標準点のほか施工体制評価点も一律だったため、加算点が最も高かった県内外の3社によるJVが落札した。

 国交省は審査に当たって「中立かつ公正な審査・評価を行うことが重要」としており、学識経験者を含む5人以上の外部意見を聴取するよう求める取り決めもあるという。

 一方、沖縄防衛局は本紙の取材に対し、審査体制について「専門的な知識を有する担当部署において審査している」と回答。同局の調達部土木課の担当職員が審査を実施したが、外部意見の聴取は行っていなかったと明かした。

 その上で、加算点が急落した経緯については「発注年度が異なり、評価者が異なっている」とし「異なる工事の各加算点について比較することは困難だ」として理由を示さなかった。

 同工事を含む「シュワブ(H29)埋立工事」の1~3工区を巡っては、18年3月から20年9月までに1工区で3回、2工区で5回、3工区で5回にわたって増額を伴う契約変更がなされ、工事総額が259億164万円から416億1135万円に増えていたことも明らかになっている。