大規模災害が発生し電話やインターネットが使えなくなった場合に備え、情報伝達の手段としてアマチュア無線の役割が近年注目されている。手持ちの受信機さえあれば誰でも情報が得られ、アマ無線の資格があれば双方向の交信が可能だ。2011年の東日本大震災や16年の熊本地震を教訓に、県内でもアマ無線を活用した通信訓練が続けられている。(當山幸都)
「シグナルレポートをお送りください」「大変クリアに入感しています」―。
毎週火曜午後8時から約30分間、沖縄の夜空には、訓練を兼ねて通信状態を確認するアマ無線家らの電波が飛び交っている。日本アマチュア無線連盟県支部が16年1月から続ける「定期ロールコール」だ。週1回のペースで途切れることなく現在まで続き、17日時点で256回を数える。
県支部役員が「基地局」を担い、読谷村内や浦添市内の高台に設置した中継局を介して一斉に応答を呼び掛ける。受信したアマ無線家が順番に名前や現在地、感度、出力などを伝えていく。毎週のように離島を含む県内各地から応答があり、中には元米軍関係者らもいるという。アマ無線の資格を持っていなくても、受信機があればやりとりを聴くことができる。
ハンディ受信機は停電していても乾電池で長時間使える上、「1対多数」の交信ができるのもアマ無線の利点だ。県地域防災計画では、災害発生時に情報収集や伝達活動に関わる専門ボランティアとして、アマチュア無線の技術者を位置付ける。
連盟支部長の波平元範さん(39)=那覇市=は「災害時にはより身近な地域の情報が重要になる。公共の通信インフラが機能しなくなれば携帯電話は万能でなくなるが、アマ無線はそれに頼らず行動できる」と話している。