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<シネマFOCUS>「私は確信する」 冤罪事件の怒り題材

 愛、怒り、自己顕示欲…など、映画はその作品の制作者の人柄や、感情までも伝えることがある。例えば本作と同じ24日公開の「ドリームランド」。プロデューサーであり、準主役でもある女優さんが、自らをセクシーに、そして賢く見せたくて仕方ない!という気持ちが前面に出ていて大変ほほ笑ましい。

 一方、フランスで実際に起こった冤罪(えんざい)事件「ヴィギエ事件」を題材に作られた本作に宿るのは怒り。

 1人の女性の行方不明事件を「ヒッチコック狂による完全犯罪。殺人事件だ」とスキャンダラスに騒ぎ立てるメディアに踊らされた検察が、ずさんな捜査で架空の殺人事件を作り上げていく。観客はその様子を、権力も財力も持たないシングルマザー、ノラの視線で体感していく。ノラと観客だけが、被告人の冤罪を確信していく。そしてその確信が、司法の前でいかに無力かを思い知らされる。

 制作者のあふれる怒りは、ぶちまけられることはない。冷静に巧妙に映画に織り交ぜられ、いつしか私の心にも宿っていた。監督はアントワーヌ・ランボー。

(桜坂劇場・下地久美子)



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