厚生労働省が実施する戦没者遺骨のDNA鑑定で身元が判明した県内6件目の遺骨が14日、親族の元に返還された。遺骨は北海道出身の日本兵、金岩外吉さん(享年21)で、同日、道職員が道内に住むおい2人の元を訪ね、手渡した。
遺骨を発掘したのは、遺骨収集をする青森県のボランティアグループ。代表で写真家の浜田哲二さん(58)らが、生き延びた兵士が残した手記などを基に現場を探し、2019年3月、糸満市照屋の壕の入り口付近で1人の遺骨を発見した。壕は戦時中、日本軍の第24師団歩兵第32連隊第1大隊が使用していた。
浜田さんらは同年5~8月にかけ、付近で亡くなったとされる戦没者十数人の遺族と面会。DNA鑑定ができると説明して、遺族8人の申請手続きに協力し、金岩さんの妹がDNAの検体を提供した。金岩さんは当時、同大隊第3中隊の上等兵で、1945年6月17日に戦没したとされる。
浜田さんは「戦後76年が経過し、鑑定に必要な、より近いDNA検体を提供できる人が少なくなる中、遺骨返還までに時間がかかりすぎている。遺族のため、早く鑑定できる仕組みが求められている」と語った。
手記などの記録や証言を手掛かりに身元が判明した県内初の事例。過去に県内で身元が判明した5件はいずれも県外出身の軍人で、万年筆や印鑑など身元が推定できる遺留品があった。