「命にまさる宝ない」 北部の沖縄戦学ぶ勉強会 オンライン80人参加 伊江わびあいの里


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わびあいの里の謝花悦子理事長(右)と伊江島の現状報告をする平安山良尚さん=伊江村東江前のわびあいの里

 【伊江】伊江村東江前のわびあいの里(謝花悦子理事長)が主催する勉強会「第19回ゆずり合い 助け合い 学び合う会」がこのほど、オンラインで開催された。オンラインでの開催は初めてで全国から約80人が参加した。謝花理事長は冒頭で、「この世の宝は命にまさるものはない。基地がある以上戦争は終わっていない」と強調した。

 会では、名護市教育委員会文化課市史編さん係の川満彰さんが「伊江島・ヤンバルの沖縄戦―軍隊は住民を守らない―」と題して講演した。川満さんは、沖縄戦における国頭郡行政別戦没者数を示しながら、伊江島や沖縄北部の沖縄戦の特徴について解説した。

 戦後に伊江村民らが収容されていた旧久志村(現名護市)での当時の様子も証言者の話を交えて紹介した。川満さんは沖縄戦について「日本は本土決戦に備えるため持久戦を目的とし、米国は本土攻略に備えた沖縄での基地を恒久化するために建設した。米軍も日本軍も住民を守ろうという発想はなかった」などと述べた。

 伊江島反戦地主の平安山良尚さん(59)=伊江村西江前=は、米軍伊江島補助飛行場内の写真(米軍サイトから)を示しながら、滑走路や施設内を増強して訓練が強化されていることなどの現状を報告した。また、伊江村内の反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」を運営する同財団は昨年、展示内容をバーチャル体験できる「仮想資料館」をホームページ上に開設した。資料館を設立した故阿波根昌鴻(しょうこう)さんの肉声で解説している。その一部が会で紹介された。

 謝花理事長は「闘いは世界が平和で豊かな心配のない安心できる時代に向かった活動の場であるよう願い、お力を貸していただきたい」とあいさつした。同財団常務理事の高垣喜三氏が昨年12月に急逝したことも涙ながらに報告した。
 (中川廣江通信員)