東日本大震災10年 現地に2度派遣の沖縄市職員 地元新聞社が紹介


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自身が紹介された岩手日報の特別号外を手にする喜屋武祐介さん(右)と派遣当時の上司だった與儀哲也課長=1日、沖縄市上下水道局

 東日本大震災から10年。被災県の岩手日報社が3月11日に発行した特別号外版800部が同日、那覇市内でも配布された。その号外版で、岩手との深い縁、絆を結んだ1人として2度、現地に応援に入った沖縄市上下水道局工務課係長、喜屋武祐介さん(42)が大きく紹介された。

 喜屋武さんは2019年から2年間派遣され、特に震災から10年の節目に立ち会えたことに「復興への祈願をより胸に深く刻み、人生の大きな思い出になる」と語った。

 大震災発生の支援では同市の建設部、消防本部、上下水道局から岩手、宮城両県に計13人派遣。喜屋武さんも震災翌月、第2陣で岩手県釜石市に赴いた。避難所運営補助に当たった期間は1週間。「街中に広がる光景に絶句。余震も度々で緊張と恐怖感は忘れられない。あっという間だった」と振り返る。

 2度目の派遣は19年4月から岩手県大船渡市。日本水道協会の派遣公募を知ったのがきっかけ。「もっと被災地の役に立ちたい」との思いから上司だった與儀哲也管理課長らに直談判した。「1年の派遣予定だったが2年に延長、余りの熱意に押されたよ」と與儀さんは苦笑い。

 妻奈緒子さん(41)も仕事を辞めて同行を決意、3歳の長男と家族ぐるみで被災地に向かった。再度の応援は本職の水道技師として災害復旧の水道工事の現場監督、岩手県との連絡調整などに奔走した。

 喜屋武さんの心残りは、この1年はコロナ禍で住民との交流が満足にできなかったこと。それでも沖縄から遠路、しかも家族ぐるみで駆け付けてくれたことに、何度も「ありがとう」と声を掛けられ、業務のエネルギーとなった。「絆と縁が早期復興の力になると信じている」と、東北へ思いを寄せ続ける。

 (岸本健通信員)