「世界の発明50」選出 気鋭の研究者、玉城絵美さん琉球大教授に 工学部で女性初


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琉球大学工学部教授に就任した玉城絵美さん=26日、西原町千原の同大

 コンピューターから人の手に動作を伝達する装置「ポゼストハンド」で米タイム誌の「世界の発明50」に選出されるなど、HCI(ヒューマン・コンピューター・インタラクション)分野で国内外をけん引する研究者兼起業家の玉城絵美さん(37)が、1日付で琉球大学工学部教授に就任した。同大工学部の教授に女性が就くのは初めて。玉城さんは「女性が活躍する領域に制限はない」と述べ、理系に進学する女性の支援を強く打ち出した。

 玉城さんは北谷町出身、琉球大学工学部卒。筑波大学大学院、東京大学大学院でも学び、2011年にポゼストハンドを発表した。リモート技術で遠隔地での体験を生み出すベンチャー企業「H2L」を12年に創業する傍ら、13年からは早稲田大学准教授に就任した。内閣府沖縄振興審議会委員を務めるほか、情報番組のコメンテーターなどもこなし、各方面で活躍している。

 玉城さんは「私が琉大にいたころは、女性の学生が1割程度だった。大学教員にも学生にもロールモデルが少ない」と、理系の大学に進学する女子が少ないことを憂慮する。自らが教授として引っ張ることで、女子の理系進学を支援する姿勢を示した。

 同大の西田睦学長は、女性の教員や学生が少ないことについて「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)だ」と指摘し、玉城さんの教授就任が女子学生が学びやすい環境の創出につながることを期待した。

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