沖縄の経済情勢、4月期は「持ち直し緩やか」 総合事務局発表


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 沖縄総合事務局財務部は28日、管内経済情勢の4月期判断を発表した。観光関連で一部に持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルスの感染再拡大で弱まっていることなどから、総括判断を「厳しい状況にある中、持ち直しに向けたテンポが緩やかになっている」として、前回判断(1月)を据え置いた。

 先行きについては、持ち直しに向かうことが期待されるとしつつも「感染拡大による地域経済の下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」とした。

 4月の経済情勢報告は主に20年12~21年2月の統計データを基に、直近までの聞き取りを含めて示され、個人消費、観光、雇用情勢の主要3項目はいずれも据え置きとなった。

 一方、観光の判断据え置きは20年1月以来5期ぶりとなった。松永尚之財務部長は「(観光の判断が)上に行ったり、下にいったりと、動いている。(4月判断までの)3カ月でも激しく動いている」と述べ、判断は据え置いたものの、足元ではまん延防止等重点措置の適用など状況が刻々と変化し、予約キャンセルの動きもみられている状況を説明した。

 前期と比べて景気が「上昇した」とする企業から「下降した」とする企業を差し引いた割合を示す景況判断BSIは全産業でマイナス29・1となった。前期の「上昇」超から「下降」超に転じており、同部は企業の景況感の判断を下方修正した。

 【個人消費】百貨店・スーパー販売額は衣料品が低調だが、巣ごもり需要が続き、食料品は引き続き堅調で前年同期比0・8%減と小幅の減少にとどまった。家電大型専門店販売額は同21・0%増で、巣ごもり需要や在宅勤務の増加でテレビやパソコンなどが堅調に推移した。

 【観光】入域観光客数は同71・4%減で、厳しい状況が続く。春休みの旅行需要の高まりから一部で持ち直しの動きが見られていたものの、県内外の感染再拡大に伴うまん延防止等重点措置の適用もあり、キャンセルの動きが出ている。

 【雇用】有効求人倍率は前期とほぼ横ばいの0・76、新規求人数は前年同期比23・0%減となった。新規求人数は宿泊・飲食サービス、卸売・小売など多くの業種で前年を下回った。