激戦地土砂きょう措置命令 沖縄県、遺骨確認など求める


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 沖縄戦跡国定公園内にある糸満市米須の土砂採掘計画を巡り、県は採掘の届け出をしていた事業者に、自然公園法に基づく措置命令を出す方針を固めた。14日に県の担当者が、正式な通知書を手渡す。県の関係者によると、採掘開始前に遺骨の有無を関係機関と連携して確認し、遺骨収集に支障が生じないことなどを業者に求める方針。開発の中止や制限には踏み込まないため、業者は県などとの協議を踏まえた上で工事に着手することはできる。

 措置命令は業者にとって不利益処分となるため県は業者に弁明書提出を求めた上で最終判断するとしていた。事業者から提出があった弁明書と陳情書を確認した結果、業者に示した措置命令の内容を大幅に変更せず、文書の表現などを微調整して通知するのが妥当だと判断した。県が業者に提示した措置命令は(1)遺骨の有無を関係機関と確認し、遺骨収集に支障が生じない措置(2)糸満市風景づくり計画などを踏まえた風景の保全(3)原状回復―の3点を掘採開始前に県に報告し協議することを求める内容。

 事業者は弁明書で、同区域での採掘事業は2008年12月26日付で前身となる会社が条件付きで県の承諾を得ており、「県の措置命令は違法」だと主張していた。陳述書には、県の業務妨害により出荷できなかった場合の販売売上被害額は十数億円に上るとの試算も示し、損害賠償を求める可能性も示唆していた。