【発言全文】河野沖縄相、再び持論「性教育で人生の自己決定を」「進学率引き上げ最優先」


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閣議後会見で記者の質問に答える河野沖縄相=18日

 Q:先週、本紙インタビューで発言について県内で賛否の声が上がっている。「子どもの貧困」の問題に関連する若年層の妊娠について「褒められる話ではない」と発言し、問題とされる「貧困の生産」の原因について「母子世帯の割合が高い。そこがやはり貧困になってしまっているというのは、絶たないといけない」との見解も示した。米軍基地の英語教育への活用についても「大人のイデオロギーで邪魔することは許されない」と発言あった。
 識者からは「単身でも貧困に陥らず、子どもを育てることができるという環境、社会をつくることが国の責任だ」と若年層の妊娠よりも母子世帯への国のフォローが遅れていることこそが問題だとの指摘がある。英語教育についての発言に対しては「なぜそのイデオロギーが生まれているのかを考える必要がある」との声がある。直接の関連はないが、玉城デニー知事も母子家庭の出身だ。発言についての真意と、こうした反応に対する受け止めを。

 A:秋のレビューで子どもの貧困を取り上げた。子どもの貧困と母子世帯との関連があるということだった。一つには母子世帯のサポートが子どもの貧困の解消には必要だ。それからもう一つは、その母子世帯の収入が低いという中で、女性の非正規の就職率が高い。女性の社会参加、労働参加が増えている。
 しかし、多くの場合、非正規になってしまって男性と比べた場合に、収入が低いというこの、正規と非正規の格差を直していかなければいけないという点があると思っている。
 そうしたことを申し上げた上で、このライフプランを自己決定するために、自分の将来の人生の計画を自己決定するために、避妊を含めた性教育の知識をきちんと学ぶ必要があると思う。性教育というと、一つには、性交を奨励しているかのようにいれわれる方もいらっしゃる。私はもう現実として自分の人生を自己決定しようと思ったら避妊についてはきちんと知識を持たないといけない。そのための性教育はきちんとやらないといけないと思っている。
 それと、母子世帯の収入が少ないというのは、子どもの父親が未婚、離婚であってもやはり養育費をきちんと払う。子どもの将来に父親としてきちんと責任をもつことは必要なことなんだろうと思う。
 沖縄の場合、相対的な子どもの貧困の割合が非常に深刻で、30%近い、全国平均の2倍という非常に高い割合になっている。高校進学率、大学進学率いずれも恐らく一番低いレベルにある。高校の中退率も非常に高いという現実がある。そういう中で、沖縄の10代の妊娠中絶の実施率、女子人口1000人に対して、全国平均を上回り、那覇市などでは全国平均6・6%に対して9・8%ぐらいの数字になっているという現実がある。沖縄の10代の女性の子どもを産む率というのは、全国平均0・28%に対して0・8%を超えている。
 そういう中で、沖縄でももちろん、文部省のプログラムに沿った性教育が行われていると思うが、自分のライフプランに引き寄せた性教育というのが、自分の将来と密接にある意味、関連するんだということが心に響くような形でやらないと、通り一遍ではいけないのではないかと思っている。もちろん、沖縄の出生率が高いというところもあると思う。ただ、せっかく出生率が高いならば、生まれてくる子どもは誰もが同じ人生の機会、平等に恵まれなければならないと思う。
 そういう意味で沖縄の将来を考えた時に、子どもの貧困、母子世帯の収入格差をなくすとか、あるいは女性の非正規の就職率が高いことで結果として男女の収入差がある。それと、ライフプランが自己決定できる。そういう教育はやはり欠かせないと思っている。
 沖縄県、自治体とも子どもの貧困の相対的な貧困率が全国平均の倍くらい、倍くらいというか倍以上だ。そういう状況を前にしてやはり子どもの貧困の解消、機会の平等、高校進学率大学進学率を引き上げることは優先課題、いや最優先課題にしないといけない。
 それから、英語教育については沖縄に米軍基地が多いという背景は理解している。これからの世界を考えると、英語の能力が子どもの将来にどれだけ門戸を開くか。英語ができなきゃ1億5千万人を相手にするしかないが、英語ができると、70億人を相手にすることができる。よく引き合いに出して怒られるが、BTSとAKBを比べてみれば一目瞭然なんではないかと思う。よく叱られているが、私はそれが現実なんだろうと思う。
 そういう意味で、沖縄の子どもに未来を開いていくために、沖縄の子どもだけじゃなく私は、日本の英語教育全体を何とかしなきゃいかんと思っている。ネイティブスピーカー(英語を母語とする人)がこれだけ身近にいるわけだから、それをリソース(資源)として英語教育に使っていくというのは、子どもの未来を考えれば、非常に大事だと思っている。もちろん、基地の問題とかいろんな問題はある。それはそれで取り上げるべき問題だと思うが、せっかく目の前にあるリソースを使わない手はないというのが私の考えだ。

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